AI面接は「職業紹介」にあたる?厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」改正とHR-LENSの対応
- 2026年9月14日から適用された厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」の改正では、AIを含む採用サービスについて「募集情報等提供」と「職業紹介」の区分が具体化されました。AI面接に関係するポイントと、HR-LENSの考え方・対応について解説します。
目次
2026年9月14日から、厚生労働省が定める
「職業紹介事業の業務運営要領」
の改正内容が適用されています。
今回の改正では、「募集情報等提供」と「職業紹介」の区分について具体例が追加・修正されました。
なかでも、求人企業に代わって面接を行うサービスについて新たな具体例が示されており、
AI面接サービスを提供する事業者だけでなく、導入する企業にとっても確認しておきたい内容となっています。
では、AIが候補者へ質問をしたり、その回答を分析したりすること自体が「職業紹介」にあたるのでしょうか。
結論からいえば、重要なのは
「AIを使っているかどうか」ではなく、そのサービスが求人企業と候補者の間で何を行っているか
です。
本記事では、今回厚生労働省から示された考え方を整理するとともに、
AI面接サービス「HR-LENS」がどのような考え方でサービスを設計・運用しているのかをご説明します。
今回の改正で何が変わったのか

「職業紹介」とは、職業安定法上、
求人および求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることを指します。
一方、求人情報や求職者情報を提供するサービスであっても、
求人・求職の申込みを受けず、雇用関係成立のあっせんを行わない場合には、
それだけをもって職業紹介に該当するわけではありません。
現在の採用サービスには、単に情報を掲載・提供するだけでなく、
AIやアルゴリズムを利用して情報を整理したり、
候補者とのコミュニケーションを支援したりするものも増えています。
そこで今回、厚生労働省は
「募集情報等提供と職業紹介の区分」
について、より具体的な事例を追加しました。
特に確認しておきたいのが、事業者自身の判断によって、
- 提供する候補者や求人情報を選別する
- 相手に応じて候補者情報や求人情報を加工する
- 求人企業と求職者の意思疎通を中継する際、その内容に加工を加える
といった行為です。
そして、この判断は人が行う場合だけに限られません。
厚生労働省は、
AIを含む電子情報処理組織によって自動的に行われる場合についても、同じ考え方で判断される
ことを示しています。
つまり、
「AIが自動で処理しているから、職業紹介にはあたらない」
という整理にはならないということです。
AI面接に関係する3つの具体例

今回の整理でAI面接サービスにとって特に重要なのが、
厚生労働省から示された「募集情報等提供と職業紹介の区分」の例における「例4-6」「例4-7」「例4-8」です。
実際のAI面接サービスに置き換えながら見ていきます。
1.AIによる「深掘り質問」はどこまで行うのか
厚生労働省の「例4-6」では、求人企業に代わって求職者の面接を行う際、
企業があらかじめ設定した質問への回答の趣旨を明確化する範囲を超えて、
企業が設定していない質問を行うことを、
「意思疎通への加工」に該当する例として示しています。
これは、候補者の回答に応じて追加質問を行う「対話型AI面接」にとって、
特に確認しておきたいポイントです。
AI面接における深掘りには、
候補者の回答から「なぜその行動をとったのか」
「具体的にどのような役割を担ったのか」
「その結果どうなったのか」といった情報を引き出せるメリットがあります。
一方で、AIが企業の設定した質問や評価したい観点とは無関係に、
自由に話題を広げて質問する仕組みである場合には、
今回示された考え方との関係を確認する必要があります。
HR-LENSの深掘りは、事前に設定した「評価項目」を起点に設計
HR-LENSでは、AIが方向性を定めず自由に質問を生成する仕組みにはしていません。
面接を設計する段階で、まず企業ごと・求人ごとに
「候補者の何を確認したいのか」という評価項目・評価軸を設定します。
そのうえで、それぞれの評価項目を確認するための質問を設計します。
AIによる深掘りも、この事前に設定された評価項目を起点として行われます。
たとえば、「周囲との協働」という評価項目を確認する質問に対して
候補者が具体的なチームでの経験を回答した場合、
その経験における本人の役割や、周囲との関わり方、判断の背景など、
その評価項目を確認するために必要な情報をより具体化する方向で深掘りします。
つまり、HR-LENSにおける「回答に応じた動的な深掘り」とは、
企業が事前に設定した質問と、それに紐づく評価項目の範囲を起点として、 候補者の経験・行動・考え方をより具体的に確認するための対話
として設計しています。
AIが候補者の回答から独自の採用基準を作ったり、
設定された評価観点から大きく外れたテーマへ自由に質問を広げたりすることを目的としたものではありません。
また、HR-LENSでは求人ごとに質問を追加・編集できるほか、
質問単位で深掘りの有無を設定することができます。
今回厚生労働省から示された考え方も踏まえ、
質問・評価項目と実際の深掘り内容との関係については、
今後も継続的に仕様・運用を確認していきます。
2.録画・文字起こしを企業へ提供すること自体は「加工」ではない
一方、「例4-7」では、
求人企業に代わって面接を行い、その内容を録画・録音したうえで、
やりとりを文字起こししたり、録画データへ日付を付したりして企業へ提供する行為について、
面接内容そのものに変更を加えるものではないため、
「意思疎通への加工」には該当しないとされています。
これはAI面接を理解するうえで重要な区別です。
面接を録画すること、回答を文字起こしすること、
情報を採用担当者が確認しやすい形に整理することと、
サービス提供者が独自の判断によって候補者を選別することは同じではありません。
AIを利用しているという事実だけではなく、
そのAIが採用プロセスのどこまでを担っているのか
を見ることが重要になります。
3.「採用すべき人材」と判断するところまで踏み込む場合
さらに重要なのが「例4-8」です。
厚生労働省は、面接内容を評価したうえで、
「貴社において採用すべき人材です」
など、採用判断に踏み込む文言とともに求人企業へ情報を提供することや、
事業者自身がその候補者情報を企業へ提供するかどうかを判断することを、
「意思疎通への加工」に該当する例として示しています。
ここで注意したいのは、
AIが分析やスコアリングを行うことそのものが、
直ちに職業紹介に該当すると示されているわけではないという点です。
重要なのは、その評価が企業のための判断材料の整理を超えて、
「この人を採用すべきである」という採用推奨に踏み込んでいないか。
また、その結果をもとに、
サービス提供者自身が候補者を選別していないかという点です。
AI面接を利用する企業が確認したい3つのポイント

今回厚生労働省から示された具体例を実務に置き換えると、
AI面接サービスを利用する際には、次の3点を確認しておくことが重要です。
チェックポイント1:深掘り質問の「基準」が明確になっているか
AIが候補者の回答に応じて質問を生成する場合、
「何を基準に次の質問を決めているのか」を確認します。
企業が設定した質問・評価観点を起点として回答を具体化しているのか。
それともAIが独自に質問テーマを広げているのか。
同じ「AIによる深掘り」でも、その仕組みには違いがあります。
チェックポイント2:AIの評価が「採用判断」に直結していないか
スコアや分析結果を提供することと、
「この候補者を採用すべき」と判断することは分けて考える必要があります。
AIがどこまで分析し、どこから先を企業自身が判断するのか。
その役割分担が明確になっているかを確認することが重要です。
チェックポイント3:サービス側が候補者を独自に選別していないか
AIによる評価結果をもとに、
サービス提供者自身の判断で
「この候補者だけを企業へ提供する」
「この候補者は企業へ提供しない」
といった選別を行っていないかも確認ポイントです。
AIを導入する際には、
最終的な選考判断を誰が行っているのかまで含めて、
サービス全体の仕組みを見る必要があります。
HR-LENSは「採用を決めるAI」ではありません

HR-LENSは、AIが一次面接を実施し、
候補者との対話内容を記録・分析することで、
採用担当者の判断を支援するAI面接サービスです。
企業ごと・求人ごとに評価軸と質問を設定し、
その設計をもとにAIが候補者との面接を行います。
面接終了後には、事前に設定された評価基準に沿って候補者の回答を分析し、
評価レポートを生成します。
しかし、
HR-LENSが候補者の採用・不採用そのものを決定することはありません。
次の選考へ進めるか。
最終的に採用するか。
こうした意思決定を行うのは、あくまで利用企業です。
HR-LENSでは、
「AIは一次面接と判断材料の整理を担い、最終的な採用判断は人が行う」
という役割分担を基本としています。
「点数」だけではなく、その根拠となった発言まで確認できる
HR-LENSでは、企業が設定した評価項目に沿ってAIが回答内容を分析し、
項目ごとのスコアを表示します。
ただし、採用担当者へ提示するのは点数だけではありません。
各スコアには、その評価の根拠となった候補者本人の発言が紐付けられています。
そのため採用担当者は、
「なぜこの評価になったのか」を実際の発言まで遡って確認できます。
必要に応じて面接動画や文字起こしと照らし合わせながら、
AIの分析結果が自社の採用基準に照らして妥当かどうかを
人が改めて確認することができます。
HR-LENSが目指しているのは、
AIが採用担当者に代わって結論を出すことではありません。
人がより多くの情報を確認し、
より納得感をもって採用判断を行うための材料を整えること
がAIの役割だと考えています。
今回の改正を、AIと人の役割を見直す機会に
AIの進化によって、採用業務の中で自動化できる範囲は急速に広がっています。
候補者へ質問すること。
回答を記録すること。
必要な情報を整理すること。
評価基準に照らして分析すること。
これまで人が時間をかけて行ってきた業務の多くを、
AIが支援できるようになりました。
一方、できることが増えたからこそ、
「どこまでをAIに任せ、どこからを人が判断するのか」
を明確にすることが、これまで以上に重要になります。
今回の厚生労働省による業務運営要領の改正は、
「AI面接を使ってよいか、悪いか」という二択を示すものではありません。
AIを含むサービスが求人企業と候補者の間でどのような役割を担い、
どこまで独自の判断を加えているのか。
その実態を見ることが重要であるという考え方が、
具体例とともに示されたものと捉えています。
HR-LENSでは、
職業紹介に該当する行為を行わないことを前提としてサービスを設計・運用するとともに、
今回示された具体例を踏まえ、質問・深掘り・評価などの機能について継続的に確認していきます。
今後も関係法令や行政機関から示される指針を確認し、
必要に応じてサービスの仕様や運用方法を見直してまいります。
まとめ|AIが採用を決めるのではなく、より良い採用判断を支える
今回の改正で重要なのは、
「AI面接」というサービス名称そのものではありません。
AIが何をしているのか。
誰が質問と評価基準を決めているのか。
AIによる深掘りは何を基準に行われているのか。
誰が候補者を選別しているのか。
そして、最終的に誰が採用を決めているのか。
こうした役割分担を明確にすることが重要です。
HR-LENSは、AIを「人に代わって採用を決める存在」ではなく、
企業が候補者についてより多くの情報を得て、
より納得感のある採用判断を行うための支援技術
として活用することを目指しています。
企業と候補者の双方が安心してAI面接を利用できる環境をつくるため、
今後も制度の変化と技術の進化の双方を確認しながら、
サービスの改善と適切な運用に取り組んでまいります。
参考情報
- 厚生労働省|令和8年9月14日から適用される職業紹介事業の業務運営要領
- 厚生労働省|募集情報等提供と職業紹介の区分
- HR-LENS|機能一覧
- HR-LENS|AI面接とは?仕組み・できること・導入前に確認したい注意点
※本記事は、2026年9月時点で厚生労働省から公表されている資料をもとに、
AI面接サービス「HR-LENS」に関係する内容および当社のサービス設計・運用方針を整理したものです。
個別のサービス・事業が職業紹介事業または募集情報等提供事業に該当するかどうかは、
サービス内容や実際の運用状況等によって判断が異なる場合があります。
必要に応じて、管轄の都道府県労働局や専門家へご確認ください。
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